8月「お鮨×ワインペアリング」開催レポート|鮨と日本ワインのマリアージュ
暦の上では秋を迎えましたが、まだまだ厳しい暑さが続く8月。
今月の「和 in Bar」では、「お鮨×ワイン」をテーマに、旬の魚介を使ったお鮨と、それぞれの味わいに合わせて厳選したワインをお楽しみいただきました。
誠名 柄澤大将が旬の魚介を使って一貫一貫丁寧に仕上げるお鮨と、Wine Bar 幸が選んだワイン。繊細な味わいや香りが重なり合うことで生まれる、特別なマリアージュをご提案しました。
今回は、先付とお椀にそれぞれ1杯、そして7貫のお鮨には3種類のワインをご用意。お鮨一貫ごとにワインを変えながら、どの組み合わせが最も好みに合うのかを探していただく、趣向を凝らしたペアリングとなりました。
先付「茶碗蒸し とうもろこしすり流し」× スワロー クヴェヴリ ゲヴュルツトラミネール 2023


最初の一杯は、アメリカ・オレゴン州の「スマロー クヴェヴリ ゲヴュルツトラミネール 2023」。
ゲヴュルツトラミネールらしいライチやマンゴーを思わせるトロピカルフルーツの香りに、ジャスミンの花のような華やかさ、さらにアジアンスパイスのニュアンスを感じるワインです。
合わせたのは「茶碗蒸し とうもろこしすり流し」。
とうもろこしのやさしい甘みと茶碗蒸しのなめらかな口当たりに、ワインのほのかな甘さと華やかな香りが寄り添います。
一方で、アタックに感じる酸味が後味をすっきりと整えてくれるため、暑い季節にも心地よく楽しめる組み合わせとなりました。
お椀「太刀魚 焼き茄子 出汁」× 信州たかやまワイナリー Nacho(なっちょ)ロゼ 2023


続いてのお椀には、長野県高山村の「信州たかやまワイナリー Nacho(なっちょ)ロゼ 2023」を合わせました。
「Nacho(なっちょ)」は、少量生産のため高山村内でのみ購入できる特別なワイン。品種や醸造方法をあえて非公開にしており、飲み手が自由に味わいを想像しながら楽しめる一本です。
合わせた「太刀魚 焼き茄子 出汁」は、太刀魚の旨味と焼き茄子の香ばしさ、そして出汁の繊細な味わいが重なる一品。
ワインのやさしい果実味と酸味が太刀魚の旨味に寄り添い、ロゼならではのほどよいボリューム感が料理をしっかりと受け止めます。
長野県のワインと和食のつながりを感じながら楽しめる、印象的な一杯となりました。
【7貫のお鮨×3種類のワイン】
今回のメインとなったのは、7貫のお鮨。
本アラ、イカ、金目鯛、鮪赤身、鮪ヅケ、海老、雲丹という、それぞれ個性の異なるネタをご用意しました。
ここでは、楠わいなりーの3種類のワインを使い、どのお鮨にどのワインが合うのかを実際に飲み比べながらお楽しみいただきました。
白身、赤身、そして最後の雲丹。それぞれの個性に合わせてワインを変えることで、「鮨と日本ワイン」のさまざまな可能性を体験していただきました。
楠わいなりー「日滝原 2024」× 本アラ・イカ



まずは、楠わいなりーの「日滝原 2024」。
セミヨンとソーヴィニヨン・ブランをブレンドした白ワインで、お寿司やお刺身、焼き物やお鍋など、幅広い日本食と相性のよい一本です。
爽やかな香りにしっかりとしたボディがあり、時間とともに香りや味わいが変化していくのも魅力。
今回は、本アラやイカなど、繊細な味わいを持つ白身のネタと合わせてお楽しみいただきました。
魚の旨味を邪魔することなく、ワインの酸味と果実味が後味をきれいに整え、鮨の味わいをより引き立てます。
白身魚の繊細な旨味とワインの爽やかさが自然につながる、まさに「和食に合う日本ワイン」の魅力を感じていただけるペアリングです。
楠わいなりー「ピノ・ノワール 2022」× 鮪赤身・鮪ヅケ



続いては、赤身の魚に合わせた「楠わいなりー ピノ・ノワール 2022」。
楠わいなりーのピノ・ノワールの特徴である旨味や出汁感、紫蘇っぽさ、スパイス感が豊かに感じられる、エレガントなワインです。
今回は、鮪赤身や鮪ヅケといった、しっかりとした旨味を持つネタと組み合わせました。
赤身魚の濃厚な旨味に、ピノ・ノワールの果実味とほどよいスパイス感が重なり、白ワインとはまた違った奥行きのある味わいに。
特に鮪ヅケの味わいには、ピノ・ノワールの旨味と果実味が心地よく寄り添い、鮨と赤ワインという組み合わせの新しい魅力を感じていただけたのではないでしょうか。
楠わいなりー「桜 シャルドネ・スパークリング」× 金目鯛・海老・雲丹




そして最後の1本が、楠わいなりーの「桜 シャルドネ・スパークリング」。
フレッシュな柑橘系の香りと熟成感を感じる味わいを持つスパークリングワインで、熟成によってトロピカルフルーツを思わせる香りも感じられます。
今回はこちらを、金目鯛や海老、そして最後の一貫である雲丹と合わせていただきました。
金目鯛のように白身でもしっかりとした味わいやボリューム感のあるネタには、スパークリングワインの爽やかな泡が心地よく寄り添います。
また、海老のやさしい甘みには、シャルドネの果実味とフレッシュな酸味が重なり、後味を軽やかにまとめてくれます。
そして、コースの最後を飾ったのが雲丹。
雲丹は濃厚な旨味と独特の磯の香りを持つ、個性豊かな食材です。スパークリングワインと合わせることで、雲丹そのものの香りや風味がより際立って感じられ、ワインとの調和を考えるうえでも興味深い組み合わせとなりました。
特に雲丹は、ワインと合わせた後のグラスにもその香りが残るなど、食材そのものの個性を改めて感じることのできる一場面に。
「どのワインがどの食材に合うのか」を実際に体験することで、単に「合う・合わない」だけではない、ペアリングの奥深さを感じていただけたのではないでしょうか。
鮨と日本ワインを楽しむポイント

今回のペアリングでおすすめしたのが、ネタの特徴に合わせてワインを選ぶ楽しみ方です。
基本的には、白身の魚には白ワイン。
そして、白身でも味わいや脂にボリュームがあるものには、スパークリングワイン。
赤身の魚には赤ワインを合わせることで、魚の旨味とワインが自然に調和します。
もちろん、これは決まったルールではありません。
同じ白身魚でも、脂の乗り方や味わいによって合うワインは変わります。今回のように、実際に複数のワインを合わせてみることで、それぞれのネタにどんなワインが寄り添うのかを発見することができます。
今回使用した楠わいなりーのワインは、長野県須坂市で造られています。
長野県にはさまざまなワイナリーがあり、土地ごとの気候や標高、土壌を生かした個性豊かな長野ワインが造られています。
また、今回のお椀で合わせた信州たかやまワイナリーも、長野県高山村でワイン造りを行う生産者です。
長野県で造られる日本ワインには、日本の食文化との相性を考えながら楽しみたい魅力があります。
今回のイベントを通して、「鮨には日本酒」というイメージだけではなく、「鮨と日本ワイン」もこんなに面白いという新しい発見を感じていただけたのではないでしょうか。
ペアリングは「料理の余韻」の中で
今回も、ペアリングワインを楽しむ際には「料理を味わった後、余韻が残っている間にワインをいただく」ことをおすすめしました。
お鮨とワインを同時に口へ入れるのではなく、まずはお鮨そのものを味わう。
そして、魚の旨味やシャリの酸味、ネタの香りが口の中に残っているところでワインをひと口。
すると、それぞれの味わいが重なり、料理とワインだけでは感じられなかった新しい風味が生まれます。
今回の「お鮨×ワイン」では、先付、お椀、そして7貫のお鮨に合わせて5種類のワインをご用意しました。
特にお鮨では、楠わいなりーの3種類のワインを飲み比べながら、白身には白ワイン、ボリュームのある白身にはスパークリング、赤身には赤ワインという基本の考え方を体験していただきました。
一貫のお鮨と一杯のワイン。その組み合わせを変えるだけで、同じ魚介からもさまざまな味わいが生まれます。
今回の「お鮨×ワインペアリング」が、皆さまにとって鮨とワインの新たな魅力を発見する機会となっていましたら幸いです。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
Wine Bar 幸では、これからも季節の食材とワインを組み合わせ、和食に合う日本ワインの魅力や、日本の食文化とワインの新しい楽しみ方をご提案してまいります。
旬の魚介と鮨、そしてワインが織りなす特別なマリアージュ。
次回の「和 in Bar」も、どうぞお楽しみに。