季節を愉しむおすすめワイン Vol.2 春の味覚とワイン

2026年3月10日

― 山菜、筍、春野菜。春の香りをグラスに重ねる ―

 

春の食卓には、冬にはなかった香りが戻ってきます。
山菜のほろ苦さ。
筍の瑞々しさ。
潮の香り。
そして、春野菜の柔らかい甘み。

春は「味が濃い季節」ではありません。
どちらかというと、繊細で、香りが主役になる季節です。
だからこそ、ワイン選びも冬とは少し変わります。

濃さで押すより、香りを邪魔せず、余韻を整えるワイン。
主張よりも、調和。

そんなワインが、春の味覚をいちばん美味しくしてくれます。

そしてこの季節に、改めて強さを発揮するのが日本ワインです。
酸がきれいで、飲み疲れせず、料理と一緒に完成する。
春の食卓の前提に、自然と寄り添ってくれます。

 

春のワインは「香り」と「余韻」で選ぶ

春の料理は、旨みが強い一方で、味付けは比較的やさしいことが多い。
出汁、塩、醤油、柑橘。
そして、山菜や春野菜が持つ独特の香り。

ここに濃厚なワインを合わせてしまうと、ワインの香りやアルコールが勝ってしまい、せっかくの春の食材が見えなくなってしまいます。

春に合うワインのキーワードは、次の3つです。

酸がきれい

香りが強すぎない

余韻が静かに伸びる

この条件を満たすワインは、「一口で驚かせる」より、「食事とともに美味しくなる」タイプ。

春の味覚には、この方向性が一番よく合います。

春の味覚×おすすめワイン(5つのペアリング)

ここからは、春の代表的な味覚をテーマに、おすすめのワインスタイルをご紹介します。

「この料理にはこの品種」と決めつけるのではなく、家の食卓で再現しやすいように、“選び方の方向性”としてまとめました。

 

① 山菜(たらの芽、ふきのとう、こごみ、うど)
― ほろ苦さには、酸のきれいな白を ―

春の象徴といえば、山菜です。
天ぷらにしたときの香り。
噛んだ瞬間に広がる、ほろ苦さ。
そして後味に残る、野性味。

この苦みは、ワインにとって意外と難しい相手です。
甘みが強いワインや樽香の強いワインを合わせると、苦みが強調されてしまうことがあります。

おすすめは、酸がきれいで、香りが派手すぎない白。
特に、ソーヴィニヨン・ブランのようにハーブ感がありながら輪郭が整ったタイプは相性が良い。

山菜の香りとワインの香りが重なり、余韻が爽やかに抜けていきます。

また、ロゼも意外と万能です。
山菜の天ぷらにロゼを合わせると、苦みが丸くなり料理の甘みが浮かび上がります。

おすすめワイン⇒ 信州たかやまワイナリー ソーヴィニヨン・ブラン2023
         ヴィラデスト ソーヴィニョンブラン 2022
         2020 高畠バリック プレミアムロゼ

 

② 筍(たけのこ)
― 瑞々しさには、まっすぐな白ワインを ―

筍は、春の食材の中でも特に“香り”が美しい存在です。
筍ご飯、若竹煮、木の芽和え。
どれも派手な味付けではないのに、春らしさがはっきりと伝わってきます。

筍に合わせたいのは、樽熟成していないシャルドネのような、果実味がまっすぐで酸がきれいな白ワインです。

このタイプのシャルドネは、濃厚さよりも、透明感と輪郭が魅力。
筍の瑞々しさを邪魔せず、出汁の旨みをすっと伸ばしてくれます。

木の芽の香りが効いた料理なら、ソーヴィニヨン・ブランも良い選択です。
香りが料理とつながり、春らしい余韻になります。

おすすめワイン⇒ 楠わいなりー シャルドネ・アンウデッド2022
         NAKADA WINES CHARDONNAY Block1 2024

 

③ 鰆(さわら)、しらす、桜えび
― “春の魚”には、軽やかなロゼが最強 ―

鰆は、春を代表する魚です。
焼き、幽庵焼き、味噌漬け。
脂がありながらも、重すぎない。

しらすや桜えびも、春の食卓を彩る存在です。
こうした春の魚介には、ロゼがとてもよく合います。

ロゼは白と赤の中間なので、魚の脂にも対応でき、塩味や醤油のニュアンスも受け止められる。

春の魚介の魅力は、濃さではなく、香りと余韻。
ロゼはその魅力を邪魔せず、むしろ広げてくれます。

おすすめワイン⇒ KUJU ロゼ Catwalk 2024
         Rue de Vin ピノ・ノワール クレール 2023
         2020 高畠バリック プレミアムロゼ

 

④ 春キャベツ、新玉ねぎ、アスパラ
― 野菜の甘みには、コクのあるピノ・グリ ―

春野菜は、冬の野菜と違って甘みがやさしい。
春キャベツは柔らかく、新玉ねぎは瑞々しく、アスパラは香りが強い。

こうした春野菜におすすめしたいのが、ほんのり色づいて、とろっとしたコクがあるピノ・グリです。

ピノ・グリは、酸と果実味の間に余白があり、料理を押さえつけずに包み込む力があります。

春野菜の甘みや香りが、ワインの厚みと重なり、余韻がふわっと広がっていく。

特に、アスパラや春キャベツの炒め物のように少し油を使う料理には抜群です。

おすすめワイン⇒ ヴィラデスト ピノ・グリ 2024
         NAKADA WINES Pinot Gris Block2 2024

春の食卓は「ワインを主役にしない」ほうが美味しい

春の料理は、どれも繊細です。
だからワインも、「一口で分かる派手さ」より、「食事とともに深まる味わい」のほうが合います。

この価値観は、日本ワインが得意とする方向性そのものです。

日本ワインは、
酸がきれいで、余韻が穏やか。
飲み疲れせず、料理を引き立てる。

春の味覚に合わせると、その良さがいちばん分かりやすくなります。

 

まとめ|春の味覚は、ワインで“余韻”を足す

春の味覚は、
香り、苦み、瑞々しさ、潮の旨み。
どれも、冬とは違う繊細な魅力があります。

だからこそ、
ワインも濃さではなく、余韻で選ぶ。

ロゼ、ソーヴィニヨン・ブラン、
樽熟成していないシャルドネ、
ほんのり色づいたピノ・グリ。

この4つがあれば、春の食卓は驚くほど楽しくなります。

桜が咲く季節は短い。
春の味覚もまた、あっという間に過ぎていきます。

だからこそ、今日の食卓に一本だけ、春のワインを。
それだけで季節が、ぐっと近くなります。

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