― 東御市「アトリエ・ド・フロマージュ」と日本ワインの幸福な関係 ―
「チーズにはワイン」。これは世界共通の定番ですが、その多くはヨーロッパワインを前提に語られてきました。では、日本で造られる日本ワインは、チーズと本当に相性が良いのでしょうか。
今回は、私がワインバーで実際に提供している、長野県東御市の「アトリエ・ド・フロマージュ」のチーズを軸に、「チーズと日本ワイン」の相性について深掘りしてみたいと思います。
東御市が育むチーズ工房「アトリエ・ド・フロマージュ」

長野県東御市は、冷涼な気候と昼夜の寒暖差に恵まれ、近年は日本ワインの銘醸地としても注目されています。そんな東御市で、長年にわたり高品質なチーズを造り続けているのが「アトリエ・ド・フロマージュ」です。
自社牧場の生乳を使い、フレッシュ、白カビ、ウォッシュ、ハード、そしてブルーチーズまで幅広いラインナップを展開。日本人の味覚に寄り添いながらも、国際的な評価を受けている点が、この工房の大きな魅力です。
塩味が穏やかで、ミルクの甘みや旨味が前に出るスタイルは、日本の食文化、そして日本ワインとの相性を考えるうえで、非常に重要なポイントになります。
一番のおすすめは「ブルーチーズ」

当店で特におすすめしているのが、アトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズです。
ブルーチーズというと「刺激が強い」「ワインを選ぶ」という印象を持たれがちですが、ここのブルーチーズは別格です。
青カビの香りは穏やかで、塩味も控えめ。口当たりは驚くほどクリーミーで、ミルクのコクと旨味がじんわりと広がります。後味に嫌な苦味や荒さが残らないため、日本ワインの繊細な香りや酸を邪魔しません。
まさに「チーズと日本ワイン」の可能性を体現する存在だと感じています。
なぜ日本ワインは日本のチーズと合うのか
日本ワインの多くは、アルコール度数が比較的穏やかで、酸味がきれい、そして香りが繊細です。これは、アトリエ・ド・フロマージュのチーズが持つ「やさしい塩味」「ミルク由来の自然な甘み」と非常に相性が良い要素です。
特にブルーチーズの場合、強すぎるワインを合わせると、ワインが勝ってしまったり、苦味が強調されたりします。しかし日本ワインであれば、チーズのコクを受け止めつつ、後味をすっと整えてくれます。
ここに、ヨーロッパワインとは異なる、日本ならではのペアリングの魅力があります。
ヴィラデストワイナリーとの相性

同じ東御市にあるヴィラデストワイナリーは、日本ワインを語るうえで欠かせない存在です。
彼らの白ワインは、果実味と酸のバランスが美しく、樽の使い方も非常に上品。アトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズと合わせると、チーズのクリーミーさがより引き立ち、ワインの果実味がふくよかに感じられます。
また、軽やかな赤ワインを合わせれば、ブルーチーズのコクと赤い果実のニュアンスが溶け合い、驚くほど調和した味わいになります。同じ土地で育まれたもの同士だからこその、自然な一体感です。
リュードヴァンがもたらすもう一つの表情

リュードヴァンのワインも、アトリエ・ド・フロマージュのチーズと非常に相性が良いです。
酸を大切にした造りで、食事に寄り添うスタイルは、まさにチーズ向き。ブルーチーズの塩味と旨味を、ワインの酸がきれいに洗い流し、次の一口を自然と誘います。
特に甲州やシャルドネ系の白ワインは、「チーズと日本ワイン」の魅力を初めて体験する方にもおすすめしやすい組み合わせです。
チーズと日本ワインは、もっと評価されていい
アトリエ・ド・フロマージュのチーズ、そして東御市の日本ワインを合わせることで、「日本ワインはチーズに合うのか?」という問いに、私ははっきりと「はい」と答えられます。
それも無理に合わせるのではなく、自然に、心地よく寄り添う関係として。
ワインバーという空間だからこそ伝えられる、チーズと日本ワインの奥深さ。
ぜひ一度、当店WineBar幸でアトリエ・ド・フロマージュのブルーチーズと、ヴィラデストワイナリーやリュードヴァンの日本ワインで、その魅力を体験してみてください。きっと、日本の土地が生み出す味わいの豊かさに、あらためて驚かれるはずです。