— 北の恵みがワインと出会う、秋の特別な一夜 —
秋が深まり、食材が最も輝く季節がやってきました。今年も旬を迎えた鮭といくら。北の大地の恵みを象徴するこの二つの食材は、日本人にとって親しみ深い味わいであると同時に、料理としての表現の幅が極めて広い特徴を持っています。WineBar幸では、この季節ならではの魅力をより多角的に味わっていただくため、「鮭といくら × ワインのペアリングイベント」を開催しました。
今回はコース料理の中から4品とワイン4種類とを合わせてご提供し、食材・出汁・焼き加減・香りといった日本料理の繊細さを、ワインの酸味・果実味・ミネラル感・余韻がどのように引き立てるのか、五感で体験していただきました。
本コラムでは当日の献立とワインの解説、そしてペアリングによって生まれた新たな味わいを、詳しくレポートしてまいります。
■先付
鮭の春巻き・いくら・振り柚子
ワイン:アルフレード ベルトラーニ スペルゴリーノ フリッツァンテ(イタリア/エミリア・ロマーニャ)
品種:スペルゴラ
イベントの幕開けを飾ったのは、鮭といくらの魅力をやさしく表現した先付。春巻きにした鮭はカリっと香ばしく、いくらの旨味が重なることで、秋らしい豊かさが感じられます。振り柚子が香りを引き締め、爽やかな余韻をもたらします。
合わせたのはイタリアの微発泡ワイン。
白い花や青リンゴの香りが軽やかで、微細な発泡が口中を清潔に整えてくれるため、脂ののった鮭との相性は抜群です。いくらの塩味とも自然に調和し、和食の先付を一層軽快で華やかに演出しました。


■造り
二種盛
ワイン:②カーヴ・ハタノ/千曲川ワインヴァレー シャルドネ&ソーヴィニヨン・ブラン2023(日本/長野)
造りは、鮭の旨味がしっかりと感じられます。素材の力を最大限に引き出すため、余分な味付けを避け、魚介本来の甘味と香りが楽しめました。
合わせたのは、長野の千曲川流域で生まれたシャルドネ&ソーヴィニヨン・ブラン。
柑橘の香り、ハーブ、すっきりとした酸味が特徴で、鮭のほどよい脂と石狩蝦の甘味を爽やかに引き立てます。ミネラル感が強く、魚介との相性は極めて良好。日本ワインの実力を感じさせる一本で、造りの繊細さがより際立つペアリングとなりました。

■お椀
石狩鍋
ワイン:③シャソン・ド・リュ ギィ・アブラン 2024(フランス/ロワール)
品種:ガメイ100%
お椀には石狩鍋の旨味を丁寧に引き出した一品をご用意しました。出汁の上品な香りと、ふくよかな甘味が広がり、秋の温かさを感じるお椀です。
お椀とワインのペアリングは難易度が高いですが、お造りに合わせた②のワインが温度が上がって来た頃がベストマッチ。シャルドネ&ソーヴィニヨン・ブランの柔らかな酸味とミネラル感が出汁の旨味と調和。温度帯の違いが生む香りの立体感もあり、和食の繊細なお椀と白ワインの美しい共演が生まれました。
そのあとはガメイ100%から造られたロゼワインも合わせました。口当たりが爽やかで、エレガントで豊かな美しい柑橘系の香り、次第にエキゾチックフルーツ、バナナやアプリコットのニュアンスへと変化していきました。


■焼き物
鮭 西京焼き
ワイン:④楠R 2019(日本/長野)
西京味噌でじっくりと漬け込んだ鮭の西京焼きは、甘味と旨味が重なり、焼き目の香ばしさがさらに食欲をそそる一品です。鮭の脂が最も美味しく感じられる焼き物は、今回のコースでも特に存在感のある料理でした。鮭の脂と赤ワインの果実味が驚くほど調和し相乗効果が生まれました。ベリーやスパイスのニュアンスが綺麗に油を流してくれる、そんな風にも感じられました。

■「鮭といくら × ワイン」が生んだ新たな発見
今回のイベントで最も多かった感想は、
「鮭といくらがここまでワインと合うとは思わなかった」
という驚きの声でした。
鮭の脂、いくらの塩味、出汁の旨味、味噌の甘味。
これらの和食的要素は、ワインの果実味・酸・ミネラル・香りの複雑さと美しく重なり、料理の奥行きを自然に広げます。
とくに、
・白ワインが鮭の脂と相性抜群
・スパークリングがいくらの塩味を引き立てる
・赤ワインが味噌や焼き目と相性を見せる
といった発見は、和食とワインの新たな可能性を強く感じさせてくれました。
和食とワインのペアリングはまだまだ発展途上の分野ですが、だからこそ奥深く、面白い世界です。
今回のイベントが、「和食 × ワイン」という楽しみ方をより身近に感じていただけたなら幸いです。
これからも旬の食材に合わせたペアリングイベントを企画し、皆さまに新しい驚きと発見をお届けしてまいります。