お花見に合うワイン
― 春の景色と、グラスの中の香り ―

寒かった冬もようやく終わりが見えてきましたね。
待ち遠しかった春とともに訪れる日本の楽しみといえば、そう、お花見ですね。
そんな桜が咲く季節は、少しだけ時間の流れが変わります。
いつもの道がやわらかく見えたり、空気が甘く感じたり。
そんな春のひとときに、自然と欲しくなるのが「外で飲むワイン」です。
お花見のワイン選びに、難しいルールはいりません。
ただひとつ大切なのは、“春の時間に合う味わい”を選ぶこと。
濃すぎないこと。重すぎないこと。
そして料理や会話の邪魔をしないこと。
お花見は、ワインを主役にする場ではなく、桜と人と食事をつなぐ、ちょうどいい存在としてワインがある。
だからこそ、お花見には「日本ワイン」がとてもよく合います。
お花見ワインは「軽やかさ」が正解
お花見は、冬の終わりと春の始まりが混ざる季節です。
昼はぽかぽかでも、夕方になると急に冷える。
料理はお弁当、惣菜、テイクアウト、揚げ物、サンドイッチなど、幅広い。
そんな場面では、
・濃厚すぎる赤
・樽が強すぎる白
・アルコールが高すぎるワイン
は、意外と疲れてしまいます。
お花見に本当に向いているのは、
酸がきれいで、飲み口が軽やかで、もう一杯飲みたくなるワインです。
ここで活躍するのが、日本の冷涼産地で造られる白、ロゼ、そしてやさしい質感のワインたち。
まさに今までのコラムでお伝えしてきた
「食卓で完成する日本ワイン」が、お花見でいちばん輝きます。
お花見におすすめのワインスタイル 5選
ここからは、お花見に相性の良いワインを
スタイル別にご紹介します。
品種名を覚えていなくても大丈夫です。
「このタイプを選べば外しにくい」という形でまとめました。
① まずはこれ。桜の季節の“万能”ロゼ
お花見に最もおすすめしたいのが、ロゼワインです。
ロゼは、白の爽やかさと赤の果実味を両方持ち、
お花見の料理に驚くほど合わせやすい。
たとえば、
・唐揚げ
・焼き鳥
・だし巻き卵
・おにぎり
・サンドイッチ
・惣菜の盛り合わせ
こうした「味がバラバラになりやすい料理」を
ロゼはまるごと受け止めてくれます。
特に日本のロゼは、香りが派手すぎず、酸がきれいで、飲み疲れしない。
まさにお花見向きです。
おすすめワイン⇒ KUJU WINERY KUJU ロゼ Catwalk 2024
Rue de Vin ピノ・ノワール クレール 2023
2020 高畠バリック プレミアムロゼ
② 春の香りをつなぐ。ソーヴィニヨン・ブラン
春は、香りの季節でもあります。
菜の花、ハーブ、柑橘、若葉。
そんな香りとリンクするのがソーヴィニヨン・ブランです。
日本のソーヴィニヨン・ブランは、ニュージーランドほど派手ではなく、香りと酸の輪郭が整っています。
合わせたい料理は、
・サラダ
・春野菜のマリネ
・ハーブを使った鶏料理
・レモンを添えた魚料理
お花見でよくある「野菜が少ない問題」も、ソーヴィニヨン・ブランがあるだけで解決します。
おすすめワイン⇒ ヴィラデストワイナリー ソーヴィニョンブラン 2022
信州たかやまワイナリー ソーヴィニヨン・ブラン2023
③ 樽熟成していないシャルドネ
― “まっすぐで軽やか”な春の白 ―
シャルドネというと、「樽の香りが強くて濃厚」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
けれど実は、シャルドネは造り方次第で、驚くほど表情が変わります。
お花見におすすめしたいのは、樽熟成していない(もしくは樽の影響がとても少ない)シャルドネです。
このタイプのシャルドネは、果実味がまっすぐで、酸がきれい。
口当たりが軽やかで、春の空気にとてもよく合います。
合わせたい料理は、
・白身魚のフライ
・海老や帆立
・塩味の焼き鳥
・ポテトサラダ
・チーズ
「シャルドネ=重い」を覆してくれる、春にぴったりの一本です。
おすすめワイン⇒ 楠わいなりー シャルドネ・アンウデッド2022
NAKADA WINES CHARDONNAY Block1 2024
④ ほんのり色づいたピノ・グリ
― とろっとしたコクが、お花見料理を包み込む ―
お花見の料理は、意外と“油”が多くなります。
唐揚げ、揚げ物、惣菜、焼き鳥。
そんなときに活躍するのが、ほんのり色づいた、コクのあるピノ・グリです。
日本のピノ・グリは、酸と果実味のバランスが整っているだけでなく、造りによっては少しだけ黄金色に近い色合いになり、とろっとした質感を持つタイプがあります。
この「やさしい厚み」が、お花見の料理の油分や旨みを受け止めてくれます。
合わせたい料理は、
・唐揚げ
・だし巻き卵
・照り焼き
・焼き鳥(タレ)
・春キャベツの炒め物
白ワインなのに、どこか満足感がある。
でも重くはない。
この絶妙な立ち位置が、お花見にぴったりです。
おすすめワイン⇒ NAKADA WINES Pinot Gris Block2 2024
ヴィラデストワイナリー ピノ・グリ 2024
⑤ “軽やかな赤”を選ぶなら、酸がきれいなタイプを
お花見は白が主役になりがちですが、赤ワインが欲しくなる瞬間もあります。
たとえば、
・焼き鳥
・ローストビーフ
・ハムやソーセージ
・甘辛い惣菜
こうした料理が並ぶと、赤があるだけで食卓が整います。
ここでのポイントは、「濃くて重い赤」ではなく、酸がきれいで、タンニンがやさしい赤を選ぶこと。
お花見は長時間になりやすいので、飲み疲れしない赤を選ぶと、最後まで心地よく楽しめます。
おすすめワイン⇒ 高畠ワイナリー 2023 高畠バリック ピノ・ノワール
信州たかやまワイナリー ピノ・ノワール2023
お花見ワインは「温度」が大事
お花見で失敗しやすいのは、ワインの種類ではなく温度です。
特に白やロゼは、ぬるくなると一気に魅力が落ちます。
おすすめは、
・保冷バッグ
・凍らせたペットボトル
・缶の保冷ホルダー
この3つがあるだけで、
お花見ワインの満足度は段違いに上がります。
赤は冷えすぎると香りが閉じますが、外の気温が低い春は、むしろちょうどよくなることも多い。
お花見は、ワインの温度を自然が調整してくれる季節でもあります。
お花見ワインは“正解”より“気分”でいい
ワインの選び方には、もちろん理屈もあります。
でもお花見は、もっと自由でいい。
桜が咲いている。
風が気持ちいい。
料理を持ち寄った。
それだけで十分に特別です。
だから、「この料理にはこのワイン」
と決めすぎなくていい。
むしろ、どんな料理でも受け止めてくれるワインを選び、気負わず飲むこと。
それがお花見にいちばん合っています。
まとめ|桜の季節の1本は、日本ワインで
お花見に合うワインは、派手さよりも軽やかさ。
濃さよりも調和。
主張よりも、寄り添いです。
ロゼ、ソーヴィニヨン・ブラン、樽熟成していないシャルドネ、ほんのり色づいたピノ・グリ。
そして酸のきれいな軽やかな赤。
どれも共通しているのは、「飲み疲れしない」ことと、「料理と一緒に完成する」こと。
お花見は、一年の中でも、ほんの短い贅沢です。
今日の一本が、桜の景色をもっと美味しくしてくれるはずです。
ぜひこの春は、日本ワインと一緒にお花見を楽しんでみてください。