11月「Trattoria Marrone」と「Wine Bar 幸」による初のペアリングイベントを開催しました

2025年12月12日

初開催のペアリングイベントを振り返って

先日行われた「Trattoria Marrone」と「Wine Bar 幸」による初のペアリングイベントは、まるで季節の移ろいを一皿ごとに描き出すような、温かくも奥行きのある時間となりました。食材の香り、ワインの余韻、そして参加者の皆さまの笑顔が、会場いっぱいに満ちていた一日。そのひとときを改めて振り返りながら、ペアリングの魅力を綴ってみたいと思います。


① 鰤の瞬間燻製 のカルパッチョ×プロセッコの清冽な泡

幕開けを飾ったのは、冬の旨みに満ちた鰤の瞬間燻製カルパッチョ。ほんのりと漂う燻香に柚子の香りが寄り添い、和の繊細さとイタリアンの軽やかさが同居した一皿でした。

合わせたのは、ヴェネト州の伝統を受け継ぐ「レ・ルーグプロセッコブリュット」。きめ細やかな泡が舌先を洗い、アカシアや桃の香りが鰤の脂を優しくリセットします。辛口のシャープな切れ味は、まさに序章にふさわしい清々しさ。会場でも「この一杯で気持ちが一気に高まった」との声が多く聞かれました。


② ゴルゴンゾーラの濃厚さ × セミヨンのふくよかさ

続く口取りでは、ゴルゴンゾーラムースと生ハムという小ぶりながらも存在感のあるペアリング。塩味とコクのバランスが絶妙で、そこにトスカーナのセミヨン「フォルナチェッレビアンコ2022」が寄り添います。

旧オークバリック由来の甘くやわらかい香り、白い花を思わせるニュアンスは、ゴルゴンゾーラの強さを決して邪魔することなく、むしろ輪郭をより柔らかく見せてくれる存在。続く温菜、丸ごと玉葱とフォンティナチーズの岩塩焼きにも驚くほどよく合い、ワインの持つ熟成感が料理の甘さと香りを優しく引き立てていました。


③ 丹波猪のラグー × ロッソディノートリの瑞々しさ

イベント中でも特に印象深かったという声が多かったのが、この猪肉のラグーと「ロッソディノートリ2023」の組み合わせ。丹波産の猪は臭みがほとんどなく、旨みの深いラグーとして見事に調理されていました。

そこに寄り添うのが、トゥアリータの代表的存在ともいえる赤。カベルネやメルローの果実味とサンジョヴェーゼの酸が一体となり、猪の旨みを包み込むように広がります。フレッシュでありながら複雑、親しみやすさと高い完成度を兼ね備え、参加者からは「一番家に持ち帰りたい一本」と言われるほどでした。


④ 和牛頬肉の赤ワイン煮込み × 深遠なるエニーラレゼルヴァ

メインを飾ったのは、じっくりと煮込まれた和牛頬肉のブラザート。ナイフがすっと入る柔らかさで、肉の繊維にまでワインの旨みが染み込み、深い満足感をもたらす逸品です。

合わせた「エニーラレゼルヴァ2019」は、その複雑さと余韻で会場の空気を一段落ち着かせるような存在でした。完熟苺やアールグレイの香りが立ち上がり、優雅で深みのある構成。料理の豊かな味わいと互いに寄り添いながら、「食事の終幕」にふさわしい静けさと余韻をもたらします。


■ イベントを終えて

初の試みである今回のペアリングイベントは、トラットリアの温もりとワインバーの感性がひとつに溶け合い、多くの参加者の皆さまとともに“特別な一日”を作り上げることができました。

料理とワインが調和する瞬間、初めて出会った方同士が自然と会話を交わしていく光景。それこそが、このイベントの持つ一番の魅力だったように思います。

今回ご参加いただけなかった方々に「行きたかった…」「次はぜひ参加したい」という声を多くいただきました。その余韻に後押しされるように、第二回の開催が早くも決定しました。2026年の年明け、今回とは異なるコースとワインのラインナップで開催予定です。ワインの世界は尽きることのない旅路。ひとつの答えではなく、新しい入口を次々に開いていく営みです。

次回はどんな香りに出会い、どんな驚きがカウンターに並ぶのか。ぜひ楽しみにお待ちいただけたら嬉しく思います。
募集開始は Wine Bar 幸 のInstagramで告知いたします。まだフォローされていない方は、どうかそっと扉をノックするようにフォローしていただければ、新しい夜の知らせが届きます。

Wine Bar 幸(Kou)

名古屋市西区幅下2丁目3-7 2階


Trattoria Marrone(トラットリア マローネ)

名古屋市千種区今池1丁目11-11

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