ヴィラデストワイナリーを紹介させていただきます。

2025年12月11日

東御ワインの原点に立つ存在

―最初の一歩が、いまの風景をつくった。ヴィラデストワイナリー―

 

 

長野県東御市。
標高およそ850m、冷涼で乾いた空気と、ゆるやかな起伏が広がる丘陵地帯。
この土地が、現在の日本ワインを語るうえで欠かせない産地となる以前、
ここで最初にワイナリーとして本格的な一歩を踏み出したのが、ヴィラデストワイナリーでした。

まだ「東御=ワイン産地」という認識が一般的ではなかった時代。
この地に畑を拓き、ぶどうを植え、風景そのものと向き合うところから始まったヴィラデストの歩みは、
いま私たちが目にする東御のワイン文化の“原点”とも言える存在です。

ヴィラデストのワインに通底するのは、抑制の美学。
香りや味わいを誇張することなく、ぶどうの輪郭、土地の冷涼感、時間の流れを丁寧に積み重ねていく。
派手な言葉を使わずとも、その一本が雄弁に語り始める。
そんな“静かな強さ”を持ったワインです。

 

 

ワインショップ幸で取り扱う5つのワインは、ヴィラデストの思想と歴史を、いまの表現として味わっていただけるラインナップです。

まず、ヴィニュロンズリザーブ メルロー 2022。
冷涼な東御で育つメルローは、力強さよりも品格を纏い、果実味・酸・タンニンが端正に整っています。
熟成を見据えた構成を持ちながら、現時点でも完成度が高く、この土地で積み重ねてきた時間の厚みを感じさせてくれる一本です。

ヴィニュロンズリザーブ シャルドネ 2024は、ヴィラデストの白の哲学を体現する存在。
樽の存在感に頼ることなく、果実の透明感と張りのある酸、ミネラルが美しく調和しています。
冷涼産地ならではの緊張感が、料理との関係性を自然に広げてくれます。

赤の表現力を象徴するのが、ピノノワール 2020。
成熟したヴィンテージならではの落ち着きと、赤い果実の繊細な香り。
飲み進めるほどに、造り込みではなく“畑と年が育てたワイン”であることが、静かに伝わってきます。

ソーヴィニヨンブラン 2022は、東御という土地の冷涼感を最もストレートに映し出します。
柑橘やハーブのニュアンス、張りつめた酸、凛としたミネラル感。
派手な主張はなくとも、一本の軸がぶれない、その佇まいにヴィラデストらしさがあります。

最後に、ピノグリ 2024。
果実の厚みと軽やかさを併せ持ち、シーンを選ばない柔軟さを備えた一本です。
時間帯や飲み手の温度によって表情を変えるその奥行きは、日常の中でこそ真価を発揮します。

 

 

これらのワインに共通するのは、「東御で最初に畑を拓いた造り手」だからこそ持ち得た、土地への深い理解と覚悟です。
自然を急がせず、流行に寄りかからず、ただ誠実に積み重ねてきた時間が、いまの味わいに結実しています。

グラスの中にあるのは、装飾された物語ではなく、実際に積み重ねられてきた風景そのもの。

ワインショップ幸として、こうしたワインをお客様に届けられることを誇りに思います。

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