日本を代表する東御の地から、
ブルゴーニュ地方のコートドールを目指して
―リュードヴァンが示す、日本ワインの実力―

長野県東御市。
冷涼な気候と恵まれた日照、そして水はけのよい土壌。
この土地は、日本ワインの歴史の中で「可能性の地」から「実力の地」へと確かな歩みを重ねてきました。その東御を語るうえで、決して外すことのできない存在がリュードヴァンです。
リュードヴァンのワインに共通して感じるのは、造り手の強い自己主張よりも、土地そのものが前に出てくる静けさ。
それは偶然ではなく、テロワールを何よりも尊重し、ぶどうの声を過不足なくワインに映すという、明確な哲学の積み重ねによるものです。

今回、ワインショップ幸でご紹介するのは、リュードヴァンの思想を端的に、そして立体的に感じていただける3本です。
まず一本目は、メルロ 2023。
東御という冷涼な土地で育ったメルロは、重たさに傾くことなく、果実の輪郭が明瞭で、穏やかなタンニンと美しい酸を備えています。
力強さよりもバランス。
派手さよりも奥行き。
食卓に置いたときに、その真価を発揮する一本です。
二本目は、ピノノワール 2024。
リュードヴァンの代名詞とも言える品種であり、東御のテロワールを最も純粋に表現する存在です。
赤い果実の繊細な香り、澄んだ酸、余韻にかけて感じられる土地由来の緊張感。
飲み進めるごとに、造り込みではなく“育ち”であることがはっきりと伝わってきます。
そして三本目が、ピノノワール クレール 2023。
果皮との接触を抑えたこのスタイルは、ピノノワールの別の表情を引き出し、赤ワインとロゼの境界を軽やかに越えていきます。
軽快でありながら奥行きがあり、シーンを選ばない柔軟さを持った一本。
リュードヴァンの技術力と感性の高さを感じさせる、非常に完成度の高いワインです。
この3本に共通するのは、「わかりやすさ」を優先しない誠実さ。
ヴィンテージごとの違いを隠さず、自然の揺らぎをそのまま受け止める。
だからこそ、飲み手はワインを通して東御の一年を体験することができます。

ワインショップ幸がリュードヴァンのワインを扱う理由は、単に“美味しい日本ワイン”だからではありません。
その背景にある思想、土地との向き合い方、人の姿勢まで含めて、お客様に伝えたいと心から思えるワインだからです。
グラスの向こうに、東御の畑が浮かぶ。
風の冷たさや、陽の強さが感じられる。
そんな時間を届けてくれるリュードヴァンのワインを、ぜひゆっくりと味わってみてください。
